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ヤノベケンジ展 「トらやんの大冒険」

会期 : 2007年9月7日(金) ― 10月8日(火・祝)
KENJI YANOBE - the Great Adventure of TORAYAN

特設


EVENT

ヤノベケンジ アーティスト・トーク
ゲスト : ヤノベケンジ
日時 : 9月7日(金)19:00~

9月7日(金)19:00より、ヤノベケンジ氏によるギャラリートークが開催されました。あいにくの台風接近で開演前には強い雨に見舞われましたが、多くの方々に集まっていただき、あらためてアーティストに対する関心の高さをうかがうことが出来ました。トークでは淡々と自己の思いを語りながらも、ユーモア溢れる口調で会場を沸かせるヤノベ氏、合間合間に映像をはさみ、これまでの作品や活動、創作のエピソードなどを中心に、それらが「トらやん」物語の構想につながって行く過程が紹介されました。
最後には、氏自身、重要な作品という「小さな森の映画館」でも上映されている短編映画を披露、父まさのぶ氏とトらやんとの珍妙な掛け合いに、参加者一同、爆笑につぐ爆笑のひとコマも。一見絶望的ともいえる、「未来の廃墟」を舞台に展開される独自の妄想世界、アートワークに見られる抜群のセンス、そして、そこに込められたヒューマンなメッセージなどなど、創造の秘密の一端を垣間見ることの出来た、素晴らしいギャラリートークとなりました。
トーク後のサイン会では、一人ごとに気さくに語りかけるヤノベ氏でしたが、北海道のファンの反応の良さは少々意外だった様子。小規模ながら北海道初の個展となった今回、心中では確かな手ごたえを感じて貰えたのかもしれません。

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ABOUT THE EXHIBITION

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バーコード頭にちょび髭、世紀のトリックスター、なにわの「トらやん」が宮の森にやって来る!
本展は、彼自身が初めて手掛けた絵本「トらやんの大冒険」を、直筆の原画と制作ドキュメント写真で紹介、絵本には収録されなかった「トらやん」の北海道上陸譚も、本展のために特別に構想されたインスタレーション作品で堂々の初公開。たくさんの仲間を携えて小さな太陽を掲げる「トらやん」の冒険の旅は、今、始まったばかりです。

トらやん とは?
3歳児用放射能防護服、黄色のミニ・アトムスーツを身にまとった「トらやん」は、もともとヤノベケンジの父まさのぶ氏が、定年退職後に始めた腹話術の人形「ケンちゃん」でした。バーコード頭にチョビヒゲという子供おやじメイクを施され、ダミ声で話し歌うケンちゃんは、ヤノベケンジの創り出すフィクションの世界とリアルな現実とを媒介する新たなキャラクター、なにわの「トらやん」となったのです。愛らしい表情でポーランド民謡「森へ行きましょう」を歌う「トらやん」、ミニチュアサイズでさりげなくポーズをとる無数に増殖した「ミニ・トらやん」、子供の命令で火を噴く超巨大ロボット「ジャイアント・トらやん」・・・大人と子どもが融合したかのような不思議な魅力と毒気を放ち続けるなにわの「トらやん」、胸のガイガーカウンターに刻まれていく数値が私たちに示してくれる未来へのビジョンとは?

絵本「トらやんの大冒険」について
“ある夜 星を見ていたら ひかりのかけらが落ちてきた。「流れ星?」それは小さな小さな太陽だった。”
ヤノベケンジが初めて手掛ける絵本「トらやんの大冒険」は、妄想のファンタジーと、現実のドキュメントによる。小さな小屋にひとり住む主人公・「トらやん」が、小さな太陽を拾い上げ、やがてたくさんの仲間と共に、大きな太陽へと成長させていく冒険ストーリーです。

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上)絵本「トらやんの大冒険」 下)本展のために制作された「宮の森の映画館」。

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ARTIST

ヤノベケンジ

ヤノベケンジ
1965年大阪に生まれた矢延憲司は、普通の子供と同じように、漫画やアニメのヒーローに魅了され育った少年でした。しかし彼にとってテレビや映画のキャラクターは、単に見るだけの憧れの存在ではありませんでした。彼は実際に精巧な着ぐるみや怪獣などをつくっては、自ら装着して人に演じ見せるクラスの人気者となったのです。
1990年、学生時代に完成させた体験型作品「タンキング・マシーン」(鑑賞者が実際に中に入って瞑想するカプセル)でアーティストとしてのデビューを飾ったヤノベケンジは、やがて「妄想」というキーワードと、幼い頃に見た「未来の廃墟」としての大阪万博跡地の解体風景を創作の原点に、現代社会と終末の未来を生き延びる(サヴァイヴァル)ためのさまざまな機能をもつ機械彫刻群を次々と生み出して行きます。
1995年、デビュー以来脚光を浴び続け、猛烈な勢いで創作に打ち込んできたヤノベは、前年から新たな制作の場として移り住んだベルリンで、地下鉄サリン事件と阪神淡路大震災を知ります。ブラウン管を通して目の当たりにした光景、それはヤノベにとって「妄想」と「サヴァイヴァル」が現実の姿となって現れた瞬間でした。
その直後に準備を開始したアトムスーツ・プロジェクトは、ガイガーカウンターを装着した放射能防護服を着て、廃墟の町チェルノブイリの遊園地を訪れるというものでした。ここで妄想砦の独裁者ヤノベケンジの作品世界が「現実」と初めて接触します。ひとりの表現者として、自らの「妄想」と「サヴァイヴァル」をテーマに作品を作り続けてきたヤノベケンジは、以後、作品をひとつのキャラクターに見立て、現実の社会と絡みながらいくつもの物語を重層的に組み上げるように再構築して行きます。そこで発揮される常識を超えた想像力と、それを支える確かな技術によって生まれた作品たちには、未来を担う子どもたちと、彼らを導くべき大人たちへのメッセージが込められているのです。

ヤノベケンジ略年譜
1965年大阪府生まれ。 1991年京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。1990年初頭から現代社会におけるサヴァイヴァルをテーマに、実際に装着したり乗って動かしたりできる大型の機械彫刻作品を数多く制作。21世紀の幕開けとともに、リヴァイヴァルへとテーマを移行させ、2003年集大成的展覧会「メガロマニア」(国立国際美術館、大阪万博跡地)を開催。2004年半年間に渡る滞在制作「子供都市計画」(金沢21世紀美術館)、2005年「キンダガルテン」(豊田市美術館)、2007年「トらやんの世界」(鹿児島県霧島アートの森)など、既成のアートの枠組みを超えた創造的活動を次々と展開している。現在大阪府在住

ヤノベケンジ公式サイト http://www.yanobe.com/
SHIFT ヤノベケンジ展掲載 http://www.shift.jp.org/ja/archives/2007/09/kenji_yanobe.html

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